量的効果とは
対立遺伝子のある赤血球抗原において、ホモ接合体の赤血球抗原がヘテロ接合体の赤血球抗原の約2倍量発現することにより、抗原抗体反応の凝集強度に差が出る現象のことです。
Rh系のE抗原について考えてみます。E抗原は対立遺伝子としてe抗原遺伝子があります。
E抗原遺伝子のホモ接合体はE/E、ヘテロ接合体はE/eと表されます。
ホモ接合体 E/E
E抗原はヘテロ接合体の約2倍の発現量
ヘテロ接合体 E/e
e抗原も発現しているため、
E抗原はホモ接合体の約1/2の発現量
ホモ接合体の方がヘテロ接合体よりもE抗原を多く発現しているため、抗Eはホモ接合体とより強く反応します。ヘテロ接合体の場合、抗原の発現量が少ないため、抗Eとの反応が減弱または陰性になることがあります。
量的効果を示す赤血球抗原は主にRh、Duffy、Kidd、MNSです。
上記の量的効果のある抗原のヘテロ接合体において、消去法で「 /(保留)」とするのはヘテロ接合体では抗体との反応が弱く出るために、反応を見逃す可能性があるためです。
りんこ
ちなみに、KellやDiagoにも量的効果は確認されていますが、
・KはRh、Duffy、Kidd、MNSなどと比べて量的効果が明瞭でないこと
・DiaはDi(a+,b-)赤血球は稀でほとんどの赤血球試薬に含まれていないこと
上記の理由によりヘテロ接合体であっても暫定的に「X」で否定できます。